令和3年5月21日、特許法等の一部を改正する法律が公布されました。また、同年9月17日、改正特許法等の施行日を定める政令が公布されました。今回の主な改正点は以下の通りです。 【特許法】 1.特許権等の回復要件の緩和 (1) 外国語特許出願の翻訳文の提出 明細書等の翻訳文を所定の期間内に提出することができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該翻訳文を提出することができる(第36条の2第6項)。 (2) 優先権主張 優先期間内に優先権主張を伴う特許出願をすることができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該優先権の主張をすることができる(第41条第1項第1号、第43条の2第1項)。 (3) 審査請求 請求期間内に審査請求をすることができなかったことについて 、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該請求をすることができる(第48条の3第5項)。 (4) 特許料の追納 追納期間に追納することができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該追納をすることができる(第112条の2第1項)。 (5) 国際特許出願における特許管理人の選任 所定の期間内に特許管理人の選任届をすることができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り届出をすることができる(第184条の11第6項) 2.特許権侵害訴訟等におけるアミカスブリーフ制度の創設(令和4年4月1日施行) 特許権侵害訴訟、専用実施権侵害訴訟及び補償金請求訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が必要と認めるときに限り、広く一般の第三者に対してその審理に必要な事項について、意見を求めることができ、当該意見を当事者が証拠に活用することができる(第65条第6項、第105条の2の11)。 3.審判等の口頭審理等の手続の見直し(令和3年10月1日施行) いわゆるウェブ会議システムにより、口頭審理、証拠調べ又は証拠保全の期日における手続を行うことができる(第71条第3項、第145条第6項、第7項、第151条)。 4.訂正審判等における通常実施権者の承諾要件の見直し(令和4年4月1日施行) (1) 特許権の放棄において、通常実施権者の承諾が不要となる(第97条第1項)。 (2) 訂正審判請求において、通常実施権者の承諾が不要となる(第127条)。 5.特許料の改定(107条第1項)(令和4年4月1日施行) 6.割増特許料の納付の免除(令和3年10月1日施行) 特許権者が、不責事由により、所定の期間内に特許料を納付することができないときは、割増特許料の納付を不要とする(第112条第2項、第4項~第6項)。
【実用新案法】 1.実用新案権等の回復要件の緩和 特許法と同様(第8条第1項第1号、第33条の2第1項、第48条の4第4項)。 2.実用新案権侵害訴訟等における第三者意見募集制度の創設(令和4年4月1日施行) 特許法と同様(第30条)。 3.実用新案登録料の改定(令和4年4月1日施行) 特許法と同様(第31条第1項)。 4.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行) 特許法と同様(第33条第2項、第4項、第5項)。
【意匠法】 1.実施の定義の見直し 輸入する行為に、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含める(第2条第2項第1号)。 2.意匠登録料等の改定(令和4年4月1日施行) 特許法と同様(第42条第1項、第60条の21第1項、第2項)。 3.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行) 特許法と同様(第44条第2項、第4項)。 4.意匠権等の回復要件の緩和 特許法と同様(第44条の2第1項)。 5.国際意匠登録出願における新規性喪失の例外の特例(令和3年10月1日施行) 国際意匠登録出願の出願人は、新規性喪失の例外適用を受けるための証明書を国際事務局に提出することが可能なる(第60条の7第2項)。 6.国際意匠登録出願の査定の方式(令和3年10月1日施行) 特許庁長官が登録査定に記載されている事項を国際事務局に通知することで、査定の謄本の送達に代えることができる(第60条の12の2)。
【商標法】 1.使用の定義の見直し 輸入する行為に、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含める(第2条第7項)。 2.商標権等の回復要件の緩和 特許法と同様(第21条第1項、第41条の3第1項、第65条の3第3項)。 3.商標登録料等の改定(令和4年4月1日施行) 特許法と同様(第40条第1項、第2項、第41条の2第1項、第7項、第65条の7第1項、第2項、第68条の30第1項各号)。 4.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行) 特許法と同様(第41条の2第6項、第43条第1項~第3項)。 5.国際商標登録出願に係る手続の整備 (1) 国際商標登録出願の査定の方式 特許庁長官が登録査定に記載されている事項を国際事務局に通知することで、査定の謄本の送達に代えることができる(第68条の18の2)。 (2) 国際商標登録出願の個別手数料 国際登録前に国際事務局にまとめて納付しなければならない(第68条の19第1項、第68条の30各項、第68条の35)。
(参照元) ・特許庁HP “特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)” ・特許庁HP “特許法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和3年9月17日政令第256号)“
令和3年5月21日、特許法等の一部を改正する法律が公布されました。また、同年9月17日、改正特許法等の施行日を定める政令が公布されました。今回の主な改正点は以下の通りです。
【特許法】
1.特許権等の回復要件の緩和
(1) 外国語特許出願の翻訳文の提出
明細書等の翻訳文を所定の期間内に提出することができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該翻訳文を提出することができる(第36条の2第6項)。
(2) 優先権主張
優先期間内に優先権主張を伴う特許出願をすることができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該優先権の主張をすることができる(第41条第1項第1号、第43条の2第1項)。
(3) 審査請求
請求期間内に審査請求をすることができなかったことについて 、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該請求をすることができる(第48条の3第5項)。
(4) 特許料の追納
追納期間に追納することができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り当該追納をすることができる(第112条の2第1項)。
(5) 国際特許出願における特許管理人の選任
所定の期間内に特許管理人の選任届をすることができなかったことについて、故意でないと認められる場合には、一定の期間内に限り届出をすることができる(第184条の11第6項)
2.特許権侵害訴訟等におけるアミカスブリーフ制度の創設(令和4年4月1日施行)
特許権侵害訴訟、専用実施権侵害訴訟及び補償金請求訴訟において、当事者の申立てにより、裁判所が必要と認めるときに限り、広く一般の第三者に対してその審理に必要な事項について、意見を求めることができ、当該意見を当事者が証拠に活用することができる(第65条第6項、第105条の2の11)。
3.審判等の口頭審理等の手続の見直し(令和3年10月1日施行)
いわゆるウェブ会議システムにより、口頭審理、証拠調べ又は証拠保全の期日における手続を行うことができる(第71条第3項、第145条第6項、第7項、第151条)。
4.訂正審判等における通常実施権者の承諾要件の見直し(令和4年4月1日施行)
(1) 特許権の放棄において、通常実施権者の承諾が不要となる(第97条第1項)。
(2) 訂正審判請求において、通常実施権者の承諾が不要となる(第127条)。
5.特許料の改定(107条第1項)(令和4年4月1日施行)
6.割増特許料の納付の免除(令和3年10月1日施行)
特許権者が、不責事由により、所定の期間内に特許料を納付することができないときは、割増特許料の納付を不要とする(第112条第2項、第4項~第6項)。
【実用新案法】
1.実用新案権等の回復要件の緩和
特許法と同様(第8条第1項第1号、第33条の2第1項、第48条の4第4項)。
2.実用新案権侵害訴訟等における第三者意見募集制度の創設(令和4年4月1日施行)
特許法と同様(第30条)。
3.実用新案登録料の改定(令和4年4月1日施行)
特許法と同様(第31条第1項)。
4.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行)
特許法と同様(第33条第2項、第4項、第5項)。
【意匠法】
1.実施の定義の見直し
輸入する行為に、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含める(第2条第2項第1号)。
2.意匠登録料等の改定(令和4年4月1日施行)
特許法と同様(第42条第1項、第60条の21第1項、第2項)。
3.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行)
特許法と同様(第44条第2項、第4項)。
4.意匠権等の回復要件の緩和
特許法と同様(第44条の2第1項)。
5.国際意匠登録出願における新規性喪失の例外の特例(令和3年10月1日施行)
国際意匠登録出願の出願人は、新規性喪失の例外適用を受けるための証明書を国際事務局に提出することが可能なる(第60条の7第2項)。
6.国際意匠登録出願の査定の方式(令和3年10月1日施行)
特許庁長官が登録査定に記載されている事項を国際事務局に通知することで、査定の謄本の送達に代えることができる(第60条の12の2)。
【商標法】
1.使用の定義の見直し
輸入する行為に、外国にある者が外国から日本国内に他人をして持ち込ませる行為を含める(第2条第7項)。
2.商標権等の回復要件の緩和
特許法と同様(第21条第1項、第41条の3第1項、第65条の3第3項)。
3.商標登録料等の改定(令和4年4月1日施行)
特許法と同様(第40条第1項、第2項、第41条の2第1項、第7項、第65条の7第1項、第2項、第68条の30第1項各号)。
4.割増登録料の納付の免除(令和3年10月1日施行)
特許法と同様(第41条の2第6項、第43条第1項~第3項)。
5.国際商標登録出願に係る手続の整備
(1) 国際商標登録出願の査定の方式
特許庁長官が登録査定に記載されている事項を国際事務局に通知することで、査定の謄本の送達に代えることができる(第68条の18の2)。
(2) 国際商標登録出願の個別手数料
国際登録前に国際事務局にまとめて納付しなければならない(第68条の19第1項、第68条の30各項、第68条の35)。
(参照元)
・特許庁HP “特許法等の一部を改正する法律(令和3年5月21日法律第42号)”
・特許庁HP “特許法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和3年9月17日政令第256号)“