1. A synthetic mulch material sized, shaped, and colored to imitate a natural mulch, wherein said synthetic mulch is comprised of:
a) a plurality of rubber particles, with the rubber selected from the group consisting of natural polymers and synthetic high polymers, with said rubber particles having an outer surface designed and dimensioned to look like natural mulch selected from the group consisting of pea gravel, wood chips, and tree bark, and a length ranging between about 1/16 inch and about 8 inches and a width ranging between about 1/16 inches and about 2 inches; and,
b) an amount of water based acrylic colorant added in an amount equal to between about 3% and about 10% by weight of said rubber particles, with said colorant coating said rubber particles thereby forming said synthetic mulch.
Green Edge Ent. LLC v. Rubber Mulch Etc. LLC (Fed. Cir. 2010)
・一部認容・一部棄却、差し戻し
・112条第1パラグラフ、ベストモード要件
Green Edgeは、合成マルチ(synthetic mulch)材料に関する特許権を有しており、ミズーリ州西部地区連邦地裁に、Rubber Mulch等が自己の特許権を侵害しているとして、侵害訴訟を提起した。
地裁は、本件特許がベストモード要件違反であるとして無効であると判断して、Green Edgeの訴えを棄却した。これに不服の原告は、CAFCに上訴した。
本件発明の合成マルチ材料は、水系アクリル着色剤を用いて、天然のマルチに似せるというものである。クレーム1は下記の通りである。
1. A synthetic mulch material sized, shaped, and colored to imitate a natural mulch, wherein said synthetic mulch is comprised of:
a) a plurality of rubber particles, with the rubber selected from the group consisting of natural polymers and synthetic high polymers, with said rubber particles having an outer surface designed and dimensioned to look like natural mulch selected from the group consisting of pea gravel, wood chips, and tree bark, and a length ranging between about 1/16 inch and about 8 inches and a width ranging between about 1/16 inches and about 2 inches; and,
b) an amount of water based acrylic colorant added in an amount equal to between about 3% and about 10% by weight of said rubber particles, with said colorant coating said rubber particles thereby forming said synthetic mulch.
本件明細書中には、着色は、アースカラーで、ゴムに容易に接着し、かつ、水と接触しても洗い流されないものでない限り、種々の異なる着色方式から選択され得ると記載されていた。更に、明細書中には、最も好ましい着色剤として、Futura Coatings, Inc.により”VISICHROME”の名称で販売された着色方式が記載されていた。
しかし、Futura Coatings, Inc.は”VISICHROME”の名称でその着色方式を販売した事実はなく、Green Edgeが実際に使用していたものも、Futuraが販売する製造コード”24009″のものであった。
地裁は、明細書中に唯一記載されていた水系アクリル着色剤としての”VISICHROME”は存在せず、Green Edgeはその製造コードの代わりに存在しない名称を記載することで、本件発明のベストモードを隠したと認定した。その結果、本件特許は、ベストモード要件違反であるとして無効との判断がなされた。
この点に関し、CAFCは、ベストモードを遵守しているか否かを判断するには、以下の2つの点の検討が求められるとしている。
第1は、裁判所は、その特許出願時において、発明者がクレームされた発明を実施するベストモードを有していたか否かを判断しなければならない、というものである。更に、この要件については、特許出願時において、発明者が個人的に好ましいと思うか否かが問題になると指摘している。
第2は、仮に全ての中から主観的に好ましいものがあった場合には、裁判所は、発明者が公衆からその好ましい態様を隠していたか否かを判断しなければならない、というものである。この要件については、更に、発明者がベストモードを開示しているか否か、およびその開示が、当業者がその発明のベストモードを実施するのに十分なものであるか否かが問われるとしている。
その上で、本件に於いては、明細書における”VISICHROME”の記述により、当業者が製造コード”24009″を用いたベストモードを知り、かつ、実施できたか否かの観点から、ベストモード要件の適否を判断した。
即ち、CAFCは、出願当時、第三者がFuturaに問い合わせをすれば、”VISICHROME”の名称の着色方式を知ることができ、また当業者であれば、開示内容から製造コード”24009″を用いて実施できたと認定した。その結果、地裁のサマリージャッジメントによる、本件特許の無効の判断は不当であるとした。
(判決文) http://www.cafc.uscourts.gov/images/stories/opinions-orders/09-1455-1479.pdf