・G1/10 審決日2012年7月31日
・EPC規則140、誤りの訂正、異議申立、補正
欧州拡大審判部は、決定における誤りの訂正を規定する欧州特許条約(EPC)の施行規則140*の解釈について、特許のテキストの訂正を求める特許権者の申請は、異議申立の手続開始後を含め、いかなる時点でなされても、許容されないとする審決をした。
(経緯)
Endress+Hauser社は、欧州特許第0961184号について異議申立をしたところ、特許権者のFisher-Rosemount Systems社は、EPC規則140に規定される誤りの訂正を求めて異議部に申請を行った。
訂正はクレームの”means for initiating (56) a command related to a position of the device data”において、”position”を”portion”に変更することを目的とするものであった。
異議部は、2009 年 3 月 12 日付けの中間決定において、異議の手続を中断し、EPC 規則140の下での訂正を求める申請に関する決定を審査部に付託した。
Endress+Hauser社はこの中間決定を不服として技術審判部に対し審理を求めた。技術審判部は、両当事者の同意に基づき、審理を一時中断して、拡大審判部に対して EPC規則140の法解釈について特許のテキストの訂正の可否に関する質問を付託した。
(拡大審判部の決定)
拡大審判部に付託された質問は、以下の通りである。
1. 異議の手続開始後に提出された EPC規則140における付与決定の訂正を求める特許権者の申請は許容されるか?
特に、EPC規則140において時期的制限がないことは、EPC規則140の下での決定における誤りの訂正をいつでもしてよいと解釈されるべきか?
2. そのような申請が許容されると見なされる場合、訂正の決定が付与された特許の容認されない補正になるか否かについて、異議部が審査するのを排除するような拘束力のある手段で、審査部は当該申請を査定系の手続において決定しなければならないか?
これらの質問に対する拡大審判部の決定は、以下の通りである。
1.EPC規則140は特許のテキストを訂正することに適用されないため、そのような訂正を求める特許権者の申請は、異議申立の手続の開始後を含め、いかなる時になされても許容されない。
2. 付託された第1の質問に対する回答を考慮すると、付託された第2の質問については回答を要しない。
尚、拡大審判部は、特許権者がEPC第123条の下で、異議手続や限定手続における特許の補正を求めることは可能であるとの見解も示している。
*EPC 実施規則140(決定における誤りの訂正)
欧州特許庁の決定に関しては、言語上の誤り、転写の誤り及び明白な錯誤に限り訂正す
ることができる。
(審決文) http://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/pdf/g100001ex1.pdf
・G1/10 審決日2012年7月31日
・EPC規則140、誤りの訂正、異議申立、補正
欧州拡大審判部は、決定における誤りの訂正を規定する欧州特許条約(EPC)の施行規則140*の解釈について、特許のテキストの訂正を求める特許権者の申請は、異議申立の手続開始後を含め、いかなる時点でなされても、許容されないとする審決をした。
(経緯)
Endress+Hauser社は、欧州特許第0961184号について異議申立をしたところ、特許権者のFisher-Rosemount Systems社は、EPC規則140に規定される誤りの訂正を求めて異議部に申請を行った。
訂正はクレームの”means for initiating (56) a command related to a position of the device data”において、”position”を”portion”に変更することを目的とするものであった。
異議部は、2009 年 3 月 12 日付けの中間決定において、異議の手続を中断し、EPC 規則140の下での訂正を求める申請に関する決定を審査部に付託した。
Endress+Hauser社はこの中間決定を不服として技術審判部に対し審理を求めた。技術審判部は、両当事者の同意に基づき、審理を一時中断して、拡大審判部に対して EPC規則140の法解釈について特許のテキストの訂正の可否に関する質問を付託した。
(拡大審判部の決定)
拡大審判部に付託された質問は、以下の通りである。
1. 異議の手続開始後に提出された EPC規則140における付与決定の訂正を求める特許権者の申請は許容されるか?
特に、EPC規則140において時期的制限がないことは、EPC規則140の下での決定における誤りの訂正をいつでもしてよいと解釈されるべきか?
2. そのような申請が許容されると見なされる場合、訂正の決定が付与された特許の容認されない補正になるか否かについて、異議部が審査するのを排除するような拘束力のある手段で、審査部は当該申請を査定系の手続において決定しなければならないか?
これらの質問に対する拡大審判部の決定は、以下の通りである。
1.EPC規則140は特許のテキストを訂正することに適用されないため、そのような訂正を求める特許権者の申請は、異議申立の手続の開始後を含め、いかなる時になされても許容されない。
2. 付託された第1の質問に対する回答を考慮すると、付託された第2の質問については回答を要しない。
尚、拡大審判部は、特許権者がEPC第123条の下で、異議手続や限定手続における特許の補正を求めることは可能であるとの見解も示している。
*EPC 実施規則140(決定における誤りの訂正)
欧州特許庁の決定に関しては、言語上の誤り、転写の誤り及び明白な錯誤に限り訂正す
ることができる。
(審決文) http://www.epo.org/law-practice/case-law-appeals/pdf/g100001ex1.pdf