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【欧州審判、特許】 拡大審判部 最終拒絶された出願が審判請求をしていなくても、審判請求期間内であれば、その出願は係属中であり、分割出願が可能。



Date.2011年2月4日

G0001/09 審決日:2010年9月27日

 

 拡大審判部(Enlarged Board of Appeal)は、最終拒絶された出願が審判請求をしていなくても、審判請求期間内であれば、その出願は係属しており、分割出願が可能であると決定した。

 

 

(経緯)

 本件の経緯は以下の通りである。

 

 2005年11月23日 審査部が口頭審理で親出願の拒絶を決定

 2005年12月14日 出願人が分割出願をする

 2006年1月27日  審査部が親出願を最終拒絶する旨の決定を書面で通知

 2007年8月9日  受理課が分割出願は有効に出願されたものではないとの決定

 

 出願人は、2005年12月14日の分割出願の際に、審判請求を行っていなかった。EPOは、2006年1月27日に親出願が最終拒絶されているので、分割出願は分割の要件(EPC規則 36(1))を充足していないと決定した。

 これを不服とした出願人は、2009年5月27日にLegal Board of Appeal に審判請求をした。

 

 Legal Board of Appealは、”pending”の文言が何を意味するかについて、拡大審判部に付託することを決定した。

 

 

(拡大審判部の決定)

 拡大審判部に付託された質問は、以下の通りである。

 

 「審査部の決定により拒絶された出願は、審判請求がされなかった場合、審判請求の期間の終了まで、EPC1973 規則25(EPC規則36(1))の意味での係属中であるか。」

 

 この質問に対し、拡大審判部は以下の通り決定した。

 

 「審査部により最終拒絶されたEP特許出願は、審判請求が行われなかったケースにおいても、その後、審判請求の期間が満了するまでの間は、EPC1973 規則25(EPC規則36(1))の意味での係属状態にある。」

 

 

 この拡大審判部の決定は、最終拒絶された出願は、審判請求の有無に関係なく係属状態にあることを意味している。そのため、出願人は、審判請求期間内であれば、審判請求をすることなく分割出願をすることが可能になった(但し、親出願の1st Actionから24ヶ月以内)。

 

 

(審決文) https://register.epoline.org/espacenet/application?documentId=EQTOHY244333154&number=EP05027368&lng=en&npl=false