2011年韓国特許法・商標法等の改正事項(2011年12月2日公布)について
韓国では、2011年11月下旬に、韓国・米国間のFTA(自由貿易協定)批准案が国会を通過し、李明博大統領が関連法案に署名しました(FTA批准が完了しました)。
これに伴い、FTA合意事項を反映した内容に特許法・商標法が改正されます。
(改正事項)
1.特許法
(1) 新規性喪失の例外規定の適用期間の延長
現行の韓国特許法では、ⅰ)特許を受ける権利を有する者の意に反して、またはⅱ)その者の出願前の公開行為により、発明が新規性を喪失した場合、新規性を喪失した日から6ケ月以内に特許出願すれば、新規性喪失の例外規定の適用(発明が新規性を喪失しなかったとの取扱い)を受けられました。今回の改正法では、上記の6ケ月という期間が12ケ月に延長されます。(米国と同様の期間となります。特許法30条改正)
(2) 登録遅延に関する特許存続期間の延長制度の導入
「特許出願日から4年、または審査請求日から3年」のうちの遅い日からさらに遅延して特許権の設定登録が行われた場合、出願人の請求により、その遅延した期間だけ存続期間を延長する制度が導入されます(特許法92条の2から92条の5追加)。
・設定登録から3ケ月以内に延長登録出願により請求します。
・通常の出願と同様に審査官が審査します。
・出願人起因の遅延は存続期間の延長期間より除外されます。
(3) 不実施の場合の特許権取消制度の廃止
現行の韓国特許法では、特許発明が韓国国内で実施されていない場合に(裁定があった日から継続して2年以上不実施の場合に)特許権を取り消すことができる制度がありましたが、改正法では、この制度が廃止されます(特許法116条削除)。
(4) 秘密保持命令制度の導入
特許権等の侵害訴訟において、当事者が提出する準備書面等に営業秘密が含まれ、その営業秘密が公開されることにより当事者の営業に支障を与えるおそれがある場合等に、当事者の申立てにより、その営業秘密につき裁判所が秘密保持命令を発することができる制度が導入されます(特許法224条の3から224条の5追加)。
2.商標法
(1) 非視覚的な標章を保護対象に追加
音・においなど非視覚的な標章も商標の登録対象とする制度が導入されます。音商標は楽譜や音源データファイルを、におい商標はにおいサンプルを、それぞれ提出して出願できるようになります(商標法2条第1項1号ハ目追加)。
(2) 証明標章制度の導入
商品やサービスの品質、原産地等の特性を証明する証明標章制度が導入されます。証明標章は、商品やサービスの特徴的な事項を証明するために使用するための標章であり、この制度の導入により、商標の品質保証機能が強化され、一般需要者に正しい商品情報が提供されることになります(商標法2条第1項4号追加等)。
(3) 専用使用権の登録義務制度の廃止
現行の韓国商標法では、専用使用権は登録を効力発生要件とし、登録しない場合、効力は発生しませんでした。改正法では、専用使用権は登録しなくても効力が発生することとし、登録は第三者対抗要件とされます(商標法56条第1項4号追加等)。
(4) 法廷損害賠償制度の導入
損害の立証や損害額の推定が困難である場合、実際の損害を立証しなくとも商標の同一性と指定商品等との同一性等を立証して、5千万ウォン以下の損害額を請求できる制度が導入されます(商標法67条の2追加)。
・法廷損害賠償制度のほか、商標権者は既存の損害賠償請求も可能です。
3.そのほか
韓国と米国との間のFTA批准に関連し、不正競争防止法にも秘密保持命令制度が導入されます。また、薬事法の医薬品特許目録に関する規定も改正されます。
(施行時期)
米韓FTA発効日から施行予定。
2011年韓国特許法・商標法等の改正事項(2011年12月2日公布)について
韓国では、2011年11月下旬に、韓国・米国間のFTA(自由貿易協定)批准案が国会を通過し、李明博大統領が関連法案に署名しました(FTA批准が完了しました)。
これに伴い、FTA合意事項を反映した内容に特許法・商標法が改正されます。
(改正事項)
1.特許法
(1) 新規性喪失の例外規定の適用期間の延長
現行の韓国特許法では、ⅰ)特許を受ける権利を有する者の意に反して、またはⅱ)その者の出願前の公開行為により、発明が新規性を喪失した場合、新規性を喪失した日から6ケ月以内に特許出願すれば、新規性喪失の例外規定の適用(発明が新規性を喪失しなかったとの取扱い)を受けられました。今回の改正法では、上記の6ケ月という期間が12ケ月に延長されます。(米国と同様の期間となります。特許法30条改正)
(2) 登録遅延に関する特許存続期間の延長制度の導入
「特許出願日から4年、または審査請求日から3年」のうちの遅い日からさらに遅延して特許権の設定登録が行われた場合、出願人の請求により、その遅延した期間だけ存続期間を延長する制度が導入されます(特許法92条の2から92条の5追加)。
・設定登録から3ケ月以内に延長登録出願により請求します。
・通常の出願と同様に審査官が審査します。
・出願人起因の遅延は存続期間の延長期間より除外されます。
(3) 不実施の場合の特許権取消制度の廃止
現行の韓国特許法では、特許発明が韓国国内で実施されていない場合に(裁定があった日から継続して2年以上不実施の場合に)特許権を取り消すことができる制度がありましたが、改正法では、この制度が廃止されます(特許法116条削除)。
(4) 秘密保持命令制度の導入
特許権等の侵害訴訟において、当事者が提出する準備書面等に営業秘密が含まれ、その営業秘密が公開されることにより当事者の営業に支障を与えるおそれがある場合等に、当事者の申立てにより、その営業秘密につき裁判所が秘密保持命令を発することができる制度が導入されます(特許法224条の3から224条の5追加)。
2.商標法
(1) 非視覚的な標章を保護対象に追加
音・においなど非視覚的な標章も商標の登録対象とする制度が導入されます。音商標は楽譜や音源データファイルを、におい商標はにおいサンプルを、それぞれ提出して出願できるようになります(商標法2条第1項1号ハ目追加)。
(2) 証明標章制度の導入
商品やサービスの品質、原産地等の特性を証明する証明標章制度が導入されます。証明標章は、商品やサービスの特徴的な事項を証明するために使用するための標章であり、この制度の導入により、商標の品質保証機能が強化され、一般需要者に正しい商品情報が提供されることになります(商標法2条第1項4号追加等)。
(3) 専用使用権の登録義務制度の廃止
現行の韓国商標法では、専用使用権は登録を効力発生要件とし、登録しない場合、効力は発生しませんでした。改正法では、専用使用権は登録しなくても効力が発生することとし、登録は第三者対抗要件とされます(商標法56条第1項4号追加等)。
(4) 法廷損害賠償制度の導入
損害の立証や損害額の推定が困難である場合、実際の損害を立証しなくとも商標の同一性と指定商品等との同一性等を立証して、5千万ウォン以下の損害額を請求できる制度が導入されます(商標法67条の2追加)。
・法廷損害賠償制度のほか、商標権者は既存の損害賠償請求も可能です。
3.そのほか
韓国と米国との間のFTA批准に関連し、不正競争防止法にも秘密保持命令制度が導入されます。また、薬事法の医薬品特許目録に関する規定も改正されます。
(施行時期)
米韓FTA発効日から施行予定。