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判例・実務情報

【米国、商標】アメリカ商標近代化法の施行について



Date.2022年3月7日

 2020年12月27日に可決された商標近代化法(Trademark Modernization Act)が、2021年12月18日より施行されています。
 商標近代化法は、権利付与の迅速化、及び不使用の登録商標の排除を主目的とした法律となっており、主な改正点は以下の通りです。

 

1.査定系取消請求(Ex Parte Expungement Proceeding)
 登録後、登録商標が指定商品・指定役務の全部又は一部について商業的に一度も使用されていない場合に、そのことを理由として商標登録の取消しを求めることが可能になります。
 (1)請求人適格
 ・何人も可能(USPTO長官も可能)。また、匿名でも可能。
 (2)請求期間
 ・登録日より3年から10年の間
 ・但し、2023年12月27日までは、3年以上経過したすべての商標登録について取消請求が可能。
 (3)庁費用
 ・1クラス毎にUSD 400

 

2.査定系再審査手続(Ex Parte Reexamination Proceedings)
 (1)現実の使用に基づく商標登録
 出願日に於いて、商標が指定商品・指定役務の全部又は一部について商業的に使用されていなかった場合に、そのことを理由として商標登録の取消しを求めることが可能になります。
 (a)請求人適格
 ・何人も可能(USPTO長官も可能)。また、匿名でも可能。
 (b)請求期間
 ・登録日から5年以内
 (c)庁費用
 ・1クラス毎にUSD 400
 (2)使用意思に基づく商標登録
 基準日に於いて、商標が指定商品・指定役務の全部又は一部について商業的に使用されていなかった場合に、そのことを理由として商標登録の取消しを求めることが可能になります。
 基準日とは、以下の日のいずれか遅い日となります。
  ・使用宣誓書の提出期限が満了した日
  ・使用を主張するための補正書提出日
 (a)請求人適格
 ・何人も可能(USPTO長官も可能)。また、匿名でも可能。
 (b)請求期間
 ・登録日から5年以内
 (c)庁費用
 ・1クラス毎にUSD 400

 

3.当事者系取消請求(Inter Partes Expungement Proceeding)
 登録商標の不使用を理由とする取消事由が追加されます。
 具体的には、登録後3年間のうちに、登録商標が指定商品・指定役務の全部又は一部について商業的に一度も使用されていない場合、そのことを理由として商標登録の取消しを請求することが可能になります。

 

4.情報提供(Letter of Protest)
 従来、非公式に認められていた情報提供が制度化されました。
情報提供は、何人も、出願中の商標が拒絶理由を有していることを証拠と共にUSPTOに提供することができるというものです。

 

5.オフィスアクションの応答期間の変更
 オフィスアクションの応答期間が、従来の6ヵ月以内から3ヵ月以内に変更になります。但し、3ヵ月の延長請求が1回可能です。
 また、マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願において米国を指定国とする出願は対象外となっており、その応答期間は、従来通り6ヶ月以内です。
 尚、この応答期間の短縮についての施行日は、2022年12月1日となっています。

 

(参照元)
USPTO “USPTO implements the Trademark Modernization Act