平成21年(行ケ)第10433号 喜多方ラーメン事件 判決日:平成22年11月15日
・請求棄却
・商標法7条の2第1項、地域団体商標、地域ブランド
・協同組合蔵のまち喜多方老麺会 対 特許庁長官
福島県喜多方市のラーメン店などでつくる協同組合「蔵のまち喜多方老麺会」が、地域団体商標として、「喜多方ラーメン」の商標登録を求めていた審決取消訴訟で、知財高裁は、当該商標が使用をされた結果、原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、例えば、福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているものということはできないとして、原告の請求を棄却した。
知財高裁は、原告の協同組合に加盟しているラーメン店は、喜多方市内で50%弱であり、加盟しない店でも喜多方市外で相当長期間にわたって「喜多方ラーメン」が使用されていることを指摘。
原告又はその構成員が「喜多方ラーメン」を使用し、喜多方市内においてラーメンの提供を行い、指定役務「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」に関する広告宣伝活動を積極的に行っていたとしても、ば福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間において、本願商標が原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、広く認識されているとまでいうことはできないとした。
争点は、「喜多方ラーメン」の本願商標がその指定役務に使用された結果、出願人である原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているか否かである。
原告は、7条の2第1項の「使用をされた結果自己又はその構成員に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識された」とは、需要者において、当該商標が使用された商品ないし役務が、誰の業務に係るものか全く判然としないものではないという意味で、一定の団体又はその構成員の業務に係るものであることが広く認識されていれば足り、当該商標から生産・提供される地域(産地)の識別ができる程度であれば十分であって、特定の者である出願人又はその構成員の業務に係る商品ないし役務に係るものであることまで広く認識されている必要はない、と主張した。
この主張に対し裁判所は、7条の2第1項柱書の「自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている」の要件は、3条2項の「何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」の要件を緩和したものであることを認めたが、以下の通り判示した。
「しかし、この要件緩和は、識別力の程度(需要者の広がりないし範囲と、質的なものすなわち認知度)についてのものであり、当然のことながら、構成員の業務との結び付きでも足りるとした点において3条2項よりも登録が認められる範囲が広くなったのは別としても、後者の登録要件について、需要者(及び取引者)からの当該商標と特定の団体又はその構成員の業務に係る商品ないし役務との結び付きの認識の要件まで緩和したものではない。」
また、7条の2第1項の該当性については、「原告又はその構成員が「喜多方ラーメン」の表示ないし名称を使用し、喜多方市内においてラーメンの提供を行うとともに、指定役務「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」に関する広告宣伝活動を積極的に行っていたとしても、喜多方市内のラーメン店の原告への加入状況や、原告の構成員でない者が喜多方市外で相当長期間にわたって「喜多方ラーメン」の表示ないし名称を含むラーメン店やラーメン店チェーンを展開・運営し、かつ「喜多方ラーメン」の文字を含む商標の登録を受けてこれを使用している点にもかんがみると、例えば福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間において、本願商標が原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、広く認識されているとまでいうことはできないというべきである。なお、喜多方市内の製麺業者によるラーメンの麺の販売実績等を考慮しても、この結論が左右されるものではない」とした。
平成21年(行ケ)第10433号 喜多方ラーメン事件 判決日:平成22年11月15日
・請求棄却
・商標法7条の2第1項、地域団体商標、地域ブランド
・協同組合蔵のまち喜多方老麺会 対 特許庁長官
福島県喜多方市のラーメン店などでつくる協同組合「蔵のまち喜多方老麺会」が、地域団体商標として、「喜多方ラーメン」の商標登録を求めていた審決取消訴訟で、知財高裁は、当該商標が使用をされた結果、原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、例えば、福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間に広く認識されているものということはできないとして、原告の請求を棄却した。
知財高裁は、原告の協同組合に加盟しているラーメン店は、喜多方市内で50%弱であり、加盟しない店でも喜多方市外で相当長期間にわたって「喜多方ラーメン」が使用されていることを指摘。
原告又はその構成員が「喜多方ラーメン」を使用し、喜多方市内においてラーメンの提供を行い、指定役務「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」に関する広告宣伝活動を積極的に行っていたとしても、ば福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間において、本願商標が原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、広く認識されているとまでいうことはできないとした。
争点は、「喜多方ラーメン」の本願商標がその指定役務に使用された結果、出願人である原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているか否かである。
原告は、7条の2第1項の「使用をされた結果自己又はその構成員に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識された」とは、需要者において、当該商標が使用された商品ないし役務が、誰の業務に係るものか全く判然としないものではないという意味で、一定の団体又はその構成員の業務に係るものであることが広く認識されていれば足り、当該商標から生産・提供される地域(産地)の識別ができる程度であれば十分であって、特定の者である出願人又はその構成員の業務に係る商品ないし役務に係るものであることまで広く認識されている必要はない、と主張した。
この主張に対し裁判所は、7条の2第1項柱書の「自己又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている」の要件は、3条2項の「何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」の要件を緩和したものであることを認めたが、以下の通り判示した。
「しかし、この要件緩和は、識別力の程度(需要者の広がりないし範囲と、質的なものすなわち認知度)についてのものであり、当然のことながら、構成員の業務との結び付きでも足りるとした点において3条2項よりも登録が認められる範囲が広くなったのは別としても、後者の登録要件について、需要者(及び取引者)からの当該商標と特定の団体又はその構成員の業務に係る商品ないし役務との結び付きの認識の要件まで緩和したものではない。」
また、7条の2第1項の該当性については、「原告又はその構成員が「喜多方ラーメン」の表示ないし名称を使用し、喜多方市内においてラーメンの提供を行うとともに、指定役務「福島県喜多方市におけるラーメンの提供」に関する広告宣伝活動を積極的に行っていたとしても、喜多方市内のラーメン店の原告への加入状況や、原告の構成員でない者が喜多方市外で相当長期間にわたって「喜多方ラーメン」の表示ないし名称を含むラーメン店やラーメン店チェーンを展開・運営し、かつ「喜多方ラーメン」の文字を含む商標の登録を受けてこれを使用している点にもかんがみると、例えば福島県及びその隣接県に及ぶ程度の需要者の間において、本願商標が原告又はその構成員の業務に係る役務を表示するものとして、広く認識されているとまでいうことはできないというべきである。なお、喜多方市内の製麺業者によるラーメンの麺の販売実績等を考慮しても、この結論が左右されるものではない」とした。