平成20(ワ)22305号 Champion事件 判決日:平成22年11月10日
・請求一部認容
・商標法36条1項、2項、38条2項、特許法103条、民法709条、真正商品の並行輸入、過失の推定、逸失利益
・エッチビーアイ ブランデッドアパレル エンタープライセス エルエルシー 対 株式会社フリック
本件は、被告の行為が真正商品の並行輸入として商標権侵害の実質的違法性を欠くといえるかが争われた事件である。
原告のエッチビーアイ ブランデッドアパレル エンタープライセス エルエルシーは、「Champion」、「CHAMPION」、「チャンピオン」、「Cロゴのマーク」及びこれらを組み合わせた標章を商標として付した衣料品等を関連会社に製造、販売させることを業とする、アメリカの会社であり、商標登録第1286289号、第1456098号、第4057070号の商標権を有している。
被告の株式会社フリックは、フィリピンの会社であるスポーツコネクション・フィリピン・インコーポレーテッド(スポーツコネクション)がフィリピンで製造した本件各商品を、国内の総代理店等による輸入経路を経由しないで国内に輸入・販売した。
被告は、輸入・販売した本件各商品に使用されている本件各商標登録は、スポーツコネクションがヘインズブランズ・フィリピン・インコーポレーテッド(ヘインズブランズ・フィリピン)から使用許諾されたものであり、本件各商品はスポーツコネクションが当該許諾に基づき製造したものであるから、真正な並行輸入品であると主張した。また、被告は、使用許諾を受けたことを示す証拠として、スポーツコネクションとヘインズブランズ・フィリピンの間で締結したとするライセンス契約書も提出している。
尚、原告とヘインズブランズ・フィリピンは、共に米国の会社であるヘインズブランズ・インコーポレーテッド(以下「HBI」という。)の100%子会社である。
一方、原告は、ヘインズブランズ・フィリピンは、本件各登録商標の使用に関してスポーツコネクションとの間でライセンス契約を結んだことはなく、被告が提出するライセンス契約書も偽造された文書であると主張した。
東京地裁は、ライセンス契約書の原本の存在が確認できないことや、提出されたライセンス契約書のコピーが、原本をそのままコピーしたものとは認め難く、何らかの作為が加えられた可能性も否定できないと指摘。
他にも本件各商標の使用を許諾したと認める証拠もないとして、被告が輸入、販売した本件各商品が真正な商品であるということはできず、被告の行為が商標権侵害の実質的違法性を欠くとすることはできないと判断した。
また、被告は、並行輸入業者としてなし得る最大限の注意を払って本件各商品を輸入しており、適法な並行輸入と信じたことにつき過失はないとも主張した。
その理由として、被告は、
①取引開始時にスポーツコネクションの使用を許諾したライセンス契約書の一部やスポーツコネクションをフィリピンにおけるチャンピオン製品のライセンシーに指定した旨の文書の写しを確認したこと、
②フィリピン国内でスポーツコネクションが製造するChampion製品が販売されていることを確認したこと、
③本件各商品の輸入の際に流通経路に係るインボイス等の書類を確認していたこと
を挙げている。
しかし、東京地裁は、被告がライセンス契約書の原本を確認していないこと、フィリピンにおける商標権者でもある原告にスポーツコネクションに対する使用許諾の有無を確認したことを認めるに足りる証拠もないことを挙げ、被告が、本件各商品が真正な商品か否かにつき十分な調査を尽くしたということはできないとして、被告の過失の存在を認めた。
これらにより、東京地裁は、被告の行為が、原告の有する商標権を侵害するものであると判断した。
(判決文) http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101129113708.pdf
平成20(ワ)22305号 Champion事件 判決日:平成22年11月10日
・請求一部認容
・商標法36条1項、2項、38条2項、特許法103条、民法709条、真正商品の並行輸入、過失の推定、逸失利益
・エッチビーアイ ブランデッドアパレル エンタープライセス エルエルシー 対 株式会社フリック
本件は、被告の行為が真正商品の並行輸入として商標権侵害の実質的違法性を欠くといえるかが争われた事件である。
原告のエッチビーアイ ブランデッドアパレル エンタープライセス エルエルシーは、「Champion」、「CHAMPION」、「チャンピオン」、「Cロゴのマーク」及びこれらを組み合わせた標章を商標として付した衣料品等を関連会社に製造、販売させることを業とする、アメリカの会社であり、商標登録第1286289号、第1456098号、第4057070号の商標権を有している。
被告の株式会社フリックは、フィリピンの会社であるスポーツコネクション・フィリピン・インコーポレーテッド(スポーツコネクション)がフィリピンで製造した本件各商品を、国内の総代理店等による輸入経路を経由しないで国内に輸入・販売した。
被告は、輸入・販売した本件各商品に使用されている本件各商標登録は、スポーツコネクションがヘインズブランズ・フィリピン・インコーポレーテッド(ヘインズブランズ・フィリピン)から使用許諾されたものであり、本件各商品はスポーツコネクションが当該許諾に基づき製造したものであるから、真正な並行輸入品であると主張した。また、被告は、使用許諾を受けたことを示す証拠として、スポーツコネクションとヘインズブランズ・フィリピンの間で締結したとするライセンス契約書も提出している。
尚、原告とヘインズブランズ・フィリピンは、共に米国の会社であるヘインズブランズ・インコーポレーテッド(以下「HBI」という。)の100%子会社である。
一方、原告は、ヘインズブランズ・フィリピンは、本件各登録商標の使用に関してスポーツコネクションとの間でライセンス契約を結んだことはなく、被告が提出するライセンス契約書も偽造された文書であると主張した。
東京地裁は、ライセンス契約書の原本の存在が確認できないことや、提出されたライセンス契約書のコピーが、原本をそのままコピーしたものとは認め難く、何らかの作為が加えられた可能性も否定できないと指摘。
他にも本件各商標の使用を許諾したと認める証拠もないとして、被告が輸入、販売した本件各商品が真正な商品であるということはできず、被告の行為が商標権侵害の実質的違法性を欠くとすることはできないと判断した。
また、被告は、並行輸入業者としてなし得る最大限の注意を払って本件各商品を輸入しており、適法な並行輸入と信じたことにつき過失はないとも主張した。
その理由として、被告は、
①取引開始時にスポーツコネクションの使用を許諾したライセンス契約書の一部やスポーツコネクションをフィリピンにおけるチャンピオン製品のライセンシーに指定した旨の文書の写しを確認したこと、
②フィリピン国内でスポーツコネクションが製造するChampion製品が販売されていることを確認したこと、
③本件各商品の輸入の際に流通経路に係るインボイス等の書類を確認していたこと
を挙げている。
しかし、東京地裁は、被告がライセンス契約書の原本を確認していないこと、フィリピンにおける商標権者でもある原告にスポーツコネクションに対する使用許諾の有無を確認したことを認めるに足りる証拠もないことを挙げ、被告が、本件各商品が真正な商品か否かにつき十分な調査を尽くしたということはできないとして、被告の過失の存在を認めた。
これらにより、東京地裁は、被告の行為が、原告の有する商標権を侵害するものであると判断した。
(判決文) http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20101129113708.pdf