知財高裁平成25年10月10日判決 平成25(行ケ)10126 きょロッケ事件
・請求棄却
・商標法4条1項11号、商標の類否、要部、二段併記
(経緯)
被告は,第29類「魚のすり身と野菜を主材とする揚げ物」を指定商品とする下記登録商標(登録第5480453号)の商標権者である。
原告は、本件登録商標は、引用商標(登録第2448697号)に基づき4条1項11号に該当するとして無効審判を請求した。しかし、特許庁は、本件登録商標と引用商標は類似しないとして、請求不成立審決をした。
本件は、この審決に不服の原告が知財高裁に訴えを提起したものである。
(本件商標及び引用商標)
本件商標は、左端に,青色の略円形図形内に白抜きで,「快席」の文字を小さく,その下部に「吉前」の文字を大きく,その下部に「よしざき」の文字を小さく,それぞれ書してなり,その右側に鬼の子供と思しき図形を描き,その右に橙色で大きく「きょロッケ」の文字を配し,さらにその右側には略おにぎり形状の頭部を有する擬人化した人形の図形を描いてなる結合商標である。
引用商標は下記の通り、「ギョロッケ」の文字を上段に,「魚ロッケ」の文字を下段に,それぞれ横書きしてなる。
(裁判所の判断)
1.本件商標
本件商標の要部について、裁判所は、「「きょロッケ」の文字は,本件商標のほぼ中央部に橙色でひときわ大きな文字で極めて読みとりやすく表示され,それ自体が成語ではなく一種の造語と解されることから,この部分が独立して看る者の注意を引くように構成されている。しかも,本件商標の構成中,左端の略円形図形及び同図形内の「快席吉前よしざき」の文字は子鬼の図形を挟んで離れて配置され,また,「きょロッケ」の文字部分の両側に配置された子鬼の図形及び略おにぎり形状の頭部を有する擬人化した人形の図形には,いずれも出所識別標識としての称呼,観念を生じることはないと見るのが相当である。そうすると,「きょロッケ」の文字部分と本件商標の他の構成部分とは,それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,本件商標においては,「きょロッケ」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての印象を与えるものといえるから,これを要部と認めるべきである。」と認定した。
2.本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否について、裁判所は、先ず、本件商標を一連・全体として見て,これを引用商標と対比した。
その結果、両者は外観が著しく異なり,本件商標は特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標は魚に関するものという観念が生ずるか,または特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において相違するかあるいはこれを比較することができないとした。また,称呼は構成音及び構成音数が明らかに相違し,一連に称呼した場合,両者は全く異なると判断した。
次に、裁判所は,本件商標の要部である「きょロッケ」の文字部分と、引用商標とを対比した。
先ず、外観については、「きょロッケ」の文字部分と,引用商標とは,綴り,書体,色,上下2段に表示されているか否かなどの構成が異なり,外観において相違するとした。
続いて、観念については,「きょロッケ」の文字部分は特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標は魚に関するものという観念が生ずるか,または特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において相違するかあるいはこれを比較することができないとした。
また、称呼については、「「きょロッケ」はその文字部分に相応する「きょろっけ」の称呼を生じ,引用商標は,その構成文字に相応する「ぎょろっけ」の称呼を生ずるものであるから,両者の称呼は,「きょ」と「ぎょ」において相違するだけであり,比較的近似するものであるといえる。しかし,語頭音である「きょ」と「ぎょ」の称呼上の差異は清音と濁音の違いであり,比較的容易に認識できるものであるといえる。」と判断した。
さらに,取引の実情については、「外観や観念よりも称呼によって商品の出所を識別しているなど,称呼上の識別性が外観及び観念上の識別性を上回っているような特段の事情も認められない。」
その結果、「本件商標の要部たる「きょロッケ」の文字部分と引用商標とは,外観が異なる上,観念については相違するかまたは比較することができないものであって,称呼においても上記の程度に区別できるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合判断すると,両商標を取り違えて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられず,両者は類似しない」と判断した。
(判決文) http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131011142056.pdf
知財高裁平成25年10月10日判決 平成25(行ケ)10126 きょロッケ事件
・請求棄却
・商標法4条1項11号、商標の類否、要部、二段併記
(経緯)
被告は,第29類「魚のすり身と野菜を主材とする揚げ物」を指定商品とする下記登録商標(登録第5480453号)の商標権者である。
原告は、本件登録商標は、引用商標(登録第2448697号)に基づき4条1項11号に該当するとして無効審判を請求した。しかし、特許庁は、本件登録商標と引用商標は類似しないとして、請求不成立審決をした。
本件は、この審決に不服の原告が知財高裁に訴えを提起したものである。
(本件商標及び引用商標)
本件商標は、左端に,青色の略円形図形内に白抜きで,「快席」の文字を小さく,その下部に「吉前」の文字を大きく,その下部に「よしざき」の文字を小さく,それぞれ書してなり,その右側に鬼の子供と思しき図形を描き,その右に橙色で大きく「きょロッケ」の文字を配し,さらにその右側には略おにぎり形状の頭部を有する擬人化した人形の図形を描いてなる結合商標である。
引用商標は下記の通り、「ギョロッケ」の文字を上段に,「魚ロッケ」の文字を下段に,それぞれ横書きしてなる。
(裁判所の判断)
1.本件商標
本件商標の要部について、裁判所は、「「きょロッケ」の文字は,本件商標のほぼ中央部に橙色でひときわ大きな文字で極めて読みとりやすく表示され,それ自体が成語ではなく一種の造語と解されることから,この部分が独立して看る者の注意を引くように構成されている。しかも,本件商標の構成中,左端の略円形図形及び同図形内の「快席吉前よしざき」の文字は子鬼の図形を挟んで離れて配置され,また,「きょロッケ」の文字部分の両側に配置された子鬼の図形及び略おにぎり形状の頭部を有する擬人化した人形の図形には,いずれも出所識別標識としての称呼,観念を生じることはないと見るのが相当である。そうすると,「きょロッケ」の文字部分と本件商標の他の構成部分とは,それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえず,本件商標においては,「きょロッケ」の文字部分が取引者,需要者に対し商品の出所識別標識としての印象を与えるものといえるから,これを要部と認めるべきである。」と認定した。
2.本件商標と引用商標の類否
本件商標と引用商標の類否について、裁判所は、先ず、本件商標を一連・全体として見て,これを引用商標と対比した。
その結果、両者は外観が著しく異なり,本件商標は特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標は魚に関するものという観念が生ずるか,または特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において相違するかあるいはこれを比較することができないとした。また,称呼は構成音及び構成音数が明らかに相違し,一連に称呼した場合,両者は全く異なると判断した。
次に、裁判所は,本件商標の要部である「きょロッケ」の文字部分と、引用商標とを対比した。
先ず、外観については、「きょロッケ」の文字部分と,引用商標とは,綴り,書体,色,上下2段に表示されているか否かなどの構成が異なり,外観において相違するとした。
続いて、観念については,「きょロッケ」の文字部分は特定の観念が生じないものであるのに対し,引用商標は魚に関するものという観念が生ずるか,または特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において相違するかあるいはこれを比較することができないとした。
また、称呼については、「「きょロッケ」はその文字部分に相応する「きょろっけ」の称呼を生じ,引用商標は,その構成文字に相応する「ぎょろっけ」の称呼を生ずるものであるから,両者の称呼は,「きょ」と「ぎょ」において相違するだけであり,比較的近似するものであるといえる。しかし,語頭音である「きょ」と「ぎょ」の称呼上の差異は清音と濁音の違いであり,比較的容易に認識できるものであるといえる。」と判断した。
さらに,取引の実情については、「外観や観念よりも称呼によって商品の出所を識別しているなど,称呼上の識別性が外観及び観念上の識別性を上回っているような特段の事情も認められない。」
その結果、「本件商標の要部たる「きょロッケ」の文字部分と引用商標とは,外観が異なる上,観念については相違するかまたは比較することができないものであって,称呼においても上記の程度に区別できるから,取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合判断すると,両商標を取り違えて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられず,両者は類似しない」と判断した。
(判決文) http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20131011142056.pdf