平成22年(行ケ)第10102号 WORLD事件 平成22年9月27日判決
・商標法4条1項11号、結合商標
・株式会社ワールド 対 特許庁長官
複数の構成部分を組み合わせた結合商標を対比の対象とする際には、結合商標の外観、観念、称呼の態様を総合的に観察して、一体のものとして対比の対象とするのか分離して対象とするのかを決し、その上で、具体的な取引の実情が認定できる場合には、その状況も踏まえて、不可分なものとするのか、それとも分離しその一部を抽出してみるのかを決すべきとした。
原告の株式会社ワールドは、平成19年8月15日、本願商標につき、商標登録出願(商願2007-88947号)をしたが、拒絶査定を受けたので、これに対する不服の審判請求をした(不服2009-7869号)。特許庁は、本願商標と引用商標2(登録番号4815768号)及び4(登録番号5050554号)は類似の商標であって、指定商品も同一又は類似であるから商標法4条1項11号に該当するとして拒絶審決をした。本件は、その取消し請求事件である。
引用商標2、4はいずれも結合商標であり、これらの商標のそれぞれに於いて、複数の構成部分を不可分のものとして対比の対象とするのか否かが主な争点となった。
引用商標2については、「WORLD」の単語は「世界」を意味する日本人にとってなじみが深く、それだけでは商標の印象が薄いのであり、指定商品分野においてイタリア語を使用する頻度が低くないと一般に認められることや、「コレツィオーネ」を切り離して引用商標2を把握することは、「WORLD」の語の前記位置づけからすれば、引用商標2それ自体の態様でみる限り、むしろ引用商標2の自他商品識別力を弱めるものとなることなどを理由に挙げ、引用商標2の少なくとも下部の「WORLD」と「collezione」の文字部分は、一体として把握するのが自然であり、引用商標2の一部である「WORLD」の文字部分だけを抽出しこれを他人の商標と比較して商標の類否を判断するのは相当でないとした。
また、引用商標4については、これを構成する「WORLD」の語も「ONE」の語も、それぞれ日本人にとってなじみの深い英単語であって、個々の語それ自体では自他商品識別力は強くなく、両者が合わさって「ワールドワン」との語感に加え後記のとおり「世界一」などの観念を与えるものとして、印象が強くなるものであることなど理由に挙げ、引用商標4は全体として1つのまとまりとして看取するものと見るのが自然であるとした。 以上の様に、引用商標2および4をそれぞれ認定した上で、本願商標「WORLD」と対比した結果、外観、観念、称呼の何れも相違するとして非類似と判断され、原告の請求は認容された。
平成22年(行ケ)第10102号 WORLD事件 平成22年9月27日判決
・商標法4条1項11号、結合商標
・株式会社ワールド 対 特許庁長官
複数の構成部分を組み合わせた結合商標を対比の対象とする際には、結合商標の外観、観念、称呼の態様を総合的に観察して、一体のものとして対比の対象とするのか分離して対象とするのかを決し、その上で、具体的な取引の実情が認定できる場合には、その状況も踏まえて、不可分なものとするのか、それとも分離しその一部を抽出してみるのかを決すべきとした。
原告の株式会社ワールドは、平成19年8月15日、本願商標につき、商標登録出願(商願2007-88947号)をしたが、拒絶査定を受けたので、これに対する不服の審判請求をした(不服2009-7869号)。特許庁は、本願商標と引用商標2(登録番号4815768号)及び4(登録番号5050554号)は類似の商標であって、指定商品も同一又は類似であるから商標法4条1項11号に該当するとして拒絶審決をした。本件は、その取消し請求事件である。
引用商標2、4はいずれも結合商標であり、これらの商標のそれぞれに於いて、複数の構成部分を不可分のものとして対比の対象とするのか否かが主な争点となった。
引用商標2については、「WORLD」の単語は「世界」を意味する日本人にとってなじみが深く、それだけでは商標の印象が薄いのであり、指定商品分野においてイタリア語を使用する頻度が低くないと一般に認められることや、「コレツィオーネ」を切り離して引用商標2を把握することは、「WORLD」の語の前記位置づけからすれば、引用商標2それ自体の態様でみる限り、むしろ引用商標2の自他商品識別力を弱めるものとなることなどを理由に挙げ、引用商標2の少なくとも下部の「WORLD」と「collezione」の文字部分は、一体として把握するのが自然であり、引用商標2の一部である「WORLD」の文字部分だけを抽出しこれを他人の商標と比較して商標の類否を判断するのは相当でないとした。
また、引用商標4については、これを構成する「WORLD」の語も「ONE」の語も、それぞれ日本人にとってなじみの深い英単語であって、個々の語それ自体では自他商品識別力は強くなく、両者が合わさって「ワールドワン」との語感に加え後記のとおり「世界一」などの観念を与えるものとして、印象が強くなるものであることなど理由に挙げ、引用商標4は全体として1つのまとまりとして看取するものと見るのが自然であるとした。 以上の様に、引用商標2および4をそれぞれ認定した上で、本願商標「WORLD」と対比した結果、外観、観念、称呼の何れも相違するとして非類似と判断され、原告の請求は認容された。