平成22年(ネ)第10001号、第10002号、第10003号平成22年9月15日判決(原審・大阪地裁平成20年(ワ)第9732号、第9736号、第9742号)
・原判決、取消し
・民事訴訟法5条9号、不法行為地、国際裁判管轄、譲渡の申出
・日本電産株式会社 対 三星電機株式会社
ウェブサイトに被告製品の紹介ページや問い合わせフォームなどが掲載されていること、被控訴人の営業担当者が国内で営業活動を行っていること、被告製品が国内メーカーにより製造販売され、国内に流通している可能性が高いことなどから、控訴人が不法行為と主張する被告物件の譲渡の申出行為について、被控訴人による申出の発信行為又はその受領という結果が、我が国において生じたものと認めるのが相当であるとして、国際裁判管轄は日本の裁判所にあるとした。
日本電産(株)(控訴人、一審原告)は、三星電機(株)(被控訴人、一審被告)に対し、自己の特許権(第3688015号(発明の名称「モータ」、第3344913号(発明の名称「フレキシブルプリント基板の固定構造」、第3502266号(発明の名称「記録媒体の駆動用モータ」)に基づき、被告製品の譲渡の申出の差止めと、不法行為に基づく損害賠償請求を求めた。
一審の大阪地裁は、我が国において被控訴人物件の譲渡の申出がなされたとは認められず、また、被控訴人が我が国において被控訴人物件の譲渡の申出をする具体的なおそれがあると推認することもできないなどとして、日本の裁判所の国際裁判管轄を否定した。
これを不服とした控訴人は、知財高裁に控訴した。知財高裁は、国際裁判管轄の判断基準を以下の通り示した。
「我が国の民訴法の規定する国内裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは、原則として、我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき、被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが、我が国で裁判を行うことが当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には、我が国の国際裁判管轄を否定すべきものと解される(最高裁昭和56年10月16日第二小法廷判決・民集35巻7号1224頁、同平成9年11月11日第三小法廷判決・民集51巻10号4055頁等参照)。」
また、民訴9条5号の不法行為地の解釈については、加害行為が行われた地(「加害行為地」)と結果が発生した地(「結果発生地」)の双方が含まれると解されるとし、本件に於いては、被控訴人による「譲渡の申出行為」について、申出の発信行為又はその受領という結果の発生が客観的事実関係として日本国内においてなされたか否かにより、日本の国際裁判管轄の有無が決せられることになると解するのが相当であるとした。
その上で、ウェブサイトに被告製品の紹介ページや問い合わせフォームなどが掲載されていること、被控訴人の営業担当者が国内で営業活動を行っていること、被告製品が国内メーカーにより製造販売され、国内に流通している可能性が高いことなどを理由に、控訴人が不法行為と主張する被告物件の譲渡の申出行為については、被控訴人による申出の発信行為又はその受領という結果が、我が国において生じたものと認めるのが相当であるとして、国際裁判管轄は日本の裁判例にあると判示した。
平成22年(ネ)第10001号、第10002号、第10003号平成22年9月15日判決(原審・大阪地裁平成20年(ワ)第9732号、第9736号、第9742号)
・原判決、取消し
・民事訴訟法5条9号、不法行為地、国際裁判管轄、譲渡の申出
・日本電産株式会社 対 三星電機株式会社
ウェブサイトに被告製品の紹介ページや問い合わせフォームなどが掲載されていること、被控訴人の営業担当者が国内で営業活動を行っていること、被告製品が国内メーカーにより製造販売され、国内に流通している可能性が高いことなどから、控訴人が不法行為と主張する被告物件の譲渡の申出行為について、被控訴人による申出の発信行為又はその受領という結果が、我が国において生じたものと認めるのが相当であるとして、国際裁判管轄は日本の裁判所にあるとした。
日本電産(株)(控訴人、一審原告)は、三星電機(株)(被控訴人、一審被告)に対し、自己の特許権(第3688015号(発明の名称「モータ」、第3344913号(発明の名称「フレキシブルプリント基板の固定構造」、第3502266号(発明の名称「記録媒体の駆動用モータ」)に基づき、被告製品の譲渡の申出の差止めと、不法行為に基づく損害賠償請求を求めた。
一審の大阪地裁は、我が国において被控訴人物件の譲渡の申出がなされたとは認められず、また、被控訴人が我が国において被控訴人物件の譲渡の申出をする具体的なおそれがあると推認することもできないなどとして、日本の裁判所の国際裁判管轄を否定した。
これを不服とした控訴人は、知財高裁に控訴した。知財高裁は、国際裁判管轄の判断基準を以下の通り示した。
「我が国の民訴法の規定する国内裁判籍のいずれかが我が国内にあるときは、原則として、我が国の裁判所に提起された訴訟事件につき、被告を我が国の裁判権に服させるのが相当であるが、我が国で裁判を行うことが当事者間の公平、裁判の適正・迅速を期するという理念に反する特段の事情があると認められる場合には、我が国の国際裁判管轄を否定すべきものと解される(最高裁昭和56年10月16日第二小法廷判決・民集35巻7号1224頁、同平成9年11月11日第三小法廷判決・民集51巻10号4055頁等参照)。」
また、民訴9条5号の不法行為地の解釈については、加害行為が行われた地(「加害行為地」)と結果が発生した地(「結果発生地」)の双方が含まれると解されるとし、本件に於いては、被控訴人による「譲渡の申出行為」について、申出の発信行為又はその受領という結果の発生が客観的事実関係として日本国内においてなされたか否かにより、日本の国際裁判管轄の有無が決せられることになると解するのが相当であるとした。
その上で、ウェブサイトに被告製品の紹介ページや問い合わせフォームなどが掲載されていること、被控訴人の営業担当者が国内で営業活動を行っていること、被告製品が国内メーカーにより製造販売され、国内に流通している可能性が高いことなどを理由に、控訴人が不法行為と主張する被告物件の譲渡の申出行為については、被控訴人による申出の発信行為又はその受領という結果が、我が国において生じたものと認めるのが相当であるとして、国際裁判管轄は日本の裁判例にあると判示した。